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Bone Sparrow ~ 難民キャンプからの希望

フィクションでありながらも、改めて、世界中で難民が発生していることや、場所によって色々異なるものの、難民が対する非人道的な扱い、彼らに希望はあるのか、など、心が痛む内容が多く描かれていて、日本で平和に暮らしているとそれがどれだけありがたいか忘れてしまいがちですが、色々考えさせられる内容でした。


難民キャンプで暮らすロヒンギャ族の男の子Subhi。彼は難民キャンプで生まれたので、外の世界を知らないのです。難民キャンプと言いながら、英語だと、detention centerという単語が使われていて、centerの周りには鉄格子と監視カメラと、監視人や犬もいて、外に自由に出られないような場所で、不衛生で物資や医療も行き届いていないような状態の中ですが、彼の周りには、希望を持って生きていこうと思えるような存在がいます。

お母さんを4年前に病気で亡くした、センターの外の世界に住むJimmyという女の子、姉のQueenyや母のMaa、迫害から逃れる際に、家族全員を亡くしてしまった兄のように慕っているEliや、心の友でいつも持ち歩いているゴム製のアヒル

キャンプでは、迫害にあったことや、逃げ出していく過程の過酷さから、心に傷を負っている人々、学ぶ機会がない子供達、世界から忘れられてしまっている存在であることをどうにかしたいと思っていること、Someday(いつか、そのうち)、とずっと思っていてなかなかその日が来ないことに絶望してしまったり。

でも最後、JimmyからBone Sparrowを引き継いで、辛い環境の中だけれど、希望を持って、前向きに生きていこうとしている様子に心が打たれました。

The Bone Sparrow by Lana Fraillon