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アメリカの司法制度〜家庭内暴力の末の正当防衛による殺人〜

今日は、PBS News Hourの記事を紹介します。

The legal pitfalls domestic violence victims face when they defend themselves - Jul. 28, 2023、より)

2017年にアラバマ州の田舎で起きた、25歳の黒人女性が、パートナーである白人男性を銃で射殺した、というもので、この女性が数年に渡って、男性から暴力(domestic violence)を受けていた末の殺人、というものでした。

アメリカでは、stand-your-ground laws(self-defense laws)のように呼ばれる、正当防衛による殺人(武器の使用含む)を認めている州が数十州あるようですが、この女性のケースの場合は、正当防衛が認められずに、15年の刑期を言い渡されたというものでした。

ただ、暴力を受けている最中に反撃したのではなく、暴力が終わった後に、射殺したことも、正当防衛が認められなかった原因の一つのようです。

このニュースは、正当防衛の規定が、男女間や、人種間で(特にwomen of colorに対して)で、平等に適用されていない、ということや、正当防衛が家庭内暴力のような状況を想定していないために、正当防衛が認めらないケースがある、という問題提起をしています。

また、英米法では、殺人でも、計画的かそうでないか(murderかmanslaughter)で区別されるため、彼女の場合は、刑期がどうなるかなど分からないまま、より低い罪、manslaughter (計画性のない殺人)で、司法取引(有罪を認める)(blind pleaとも呼ばれるようです)をして、あとは裁判官次第(運が良ければ、より少ない刑になるかも)という状況だったことについても、問題視されています。

彼女は模範囚だったようで、すでに現在は、刑務所から出所して、生活を立て直そうとしているようです。

法律用語や、法律の知識がないとなかなか難しかったりする分野ですが、理解できたら、こういったニュースもそうですが、小説や映画(結構たくさんありますよね)もより深く味わえるのかなぁ、、と思ってます。